＊読みやすいし、書きやすいので一人インタビュー形式にしています
Ｑ：早速ですが、初めてリノベーションのデザインをしたお部屋とお聞きしましたが。
Ａ：はい、そうです。処女作です。
吉原住宅にお世話になったのが2007年5月。27歳の頃。最初の仕事が山王マンション、山王Ｒプロジェクトでした。僕の役割はリノベーション工事全般のマネジメント。デザイナーさんや工事業者さんとの間に入ってスケジュールとかプランとかコストとかの調整していく仕事です。
しかしながら当時、賃貸マンションにオーナーがいることすらよく知らなくて。当然なんのためにリノベーションするのかもよくわかってませんでした。工事全般のマネジメントって自分が何をしたらいいのかも。
つまり「訳わかってない状態」です。けど、なんとかかんとか自分を整理しようともがいていました。今にして思うと以前は店舗の現場管理とか家具の設計などのお仕事をしてました。いわゆる建設業。そこから不動産業へと違う業界へ転職したことにあの頃全く気がついていなかったのだなぁと。。。
そんな中作ったのが『オルタナティブルーム』です。
↑写真はリノベ前の写真です。軽くリフォームしていました。
Ｑ：「オルタナティブルーム」を作ることになったきっかけを教えてください。
Ａ：そもそもは、退去したばかりの空室があって、原状回復してほしいと吉原（社長）に言われたのがきっかけです。
社長と社員数名で見に行きました。ひどかった。過去に畳をフローリングに替えたりだとか、壁の塗装をするだとかのリフォームはなされてありました。けど中途半端にされていたし、以前住まわれた方の使用具合も悪くて。。。
で、思ったんです。これはチャンスだと。社長がくれたチャンスなのだと。そう思いコミました（笑）
その頃山王Ｒプロジェクトでデザイナーさん達との調整真っ最中。なんとか、もがきながらその頃自分整理の真っ最中ですね。自分が何のためにいるのかもわかってませんでしたから。この部屋をリノベ出来れば自分の居場所ができる、そんな思いでした。けど予算は原状回復程度しかない。どうしようって感じでした。
Ｑ：で、どうされたのですか？
Ａ：壊さずに活かそうと思いました。一見古いけど何かしら手を加えれば良くなるんでないかって。けどそれだけじゃリフォームと何ら変わらない。リノベーションってどういうことだろうと考えました。
Ｑ：で！？
Ａ：テーマ/コンセプトを作ろうと思いました。リフォームとリノベーションの違いってたぶんソコなんじゃないかって。訳わかってないなりに考えた答えでした。
Ｑ：具体的には？
Ａ：趣味が音楽鑑賞で。その趣味を活かそうと思いました。というよりか、それしか思いつかなかったです（苦笑）
Ｑ：なぜオルタナティブですか。
Ａ：はい。オルタナティブにもいろいろな捉え方があるのでどれが正しいとは言い難いのですが。この時の捉え方は、ロックをベースにソウルとかジャズとかパンクとか、いろんなジャンルが混じり合ってできた「新しいロック、音楽」という捉え方です。
ここでいうロックの部分、ベースに当たるのが、原状ですね。築40年のもともとの状態。
そこにアメリカン、フレンチ、ジャパニーズ、レトロ、モダン、スクールなどのテイストを加えていく。「新しい賃貸、リノベーション」ができるのではないかと思いました。
Ｑ：具体的なデザインの組み立て方、テイストの加え方を教えてください。
Ａ：即興的要素は多かったですね。大方のイメージは当然考えます。けど、細かな部分は現場のノリでアレンジ、加えていきました。基本現場監督なので、現場に居る時間もデザイナーさんと比較して長いし、職人さんとの関係も出来上がっていたので。直接話して作りやすい環境にあった。音楽でいうセッションみたいな感じですかね。
Ｑ：完成から4年経って、改めて見てどうですか？
Ａ：あの時しか作れない部屋、今ならこうしちゃうだろうなぁてとこありますね。いい意味でも悪い意味でも。
それと一度自分の手から離れて入居者さんが住まう。4年が経過し、ようやく馴染んできたというか、味わいが増して進化した気がしてます。多分リフォームだったら劣化してるんだと思います。
オルタナティブルームが完成した当時（４年前）、築40年の使用感、味わいを出来るだけ残しました。けど、ある捉え方をすれば新築なわけです。つまり、新しい建材も一部に使っていてまだ使用していない。当時は新しくて周りと馴染んでなかった建材が４年経って馴染んできた。リノベーションは住まわれて進化していくものなのだと気が付きました。
すごく今、イイ感じです。
当時だいぶ浮いてしまった感じだったんですが。。。。（苦笑）
そんなイイ感じのオルタナティブルームはWaiting中（空室待ち）です。気になる方はこちら！！
そしてその他のお部屋が気になる方は「北嵜剛司のリノベーションアーカイブ」の目次へお願いします。
リノベーションのキタザキ