清川ロータリープレイスマガジン
新高砂マンション、清川、福岡、働き方・・・
いくつかの想いが重なってスタートした清川ロータリープレイスのプロジェクト。簡単にはまとめれない、場づくりにまつわるあれこれを発信していきます
清川ロータリープレイスとは?
仕事をしたい場所ってどこだろう
「仕事のはかどり具合はまわりの環境に左右される」
サラリーマンであれば、ほとんどの場合は出勤・退社の定時があり、仕事の拠点となる「オフィス・事務所」があると思います。「オフィス」というワードから、多少の違いはあるものの、だいたいはみなさん同じイメージを抱かれるのではないでしょうか。白いクロス、もしくは一面ガラス。タイルカーペットの床に天井には蛍光灯。
この画一的なイメージができあがった背景には、これまでオフィスは「デスクワークの場」ということが想定されており、デスクや棚が並べやすい規格がそろったものが好まれたということがあります。効率的に生産活動をするため、業務において事務作業・現場作業・営業と役割分担がなされ、オフィスは「事務作業」の場であった。そんな時代においては先ほどイメージしたオフィスは理にかなっています。
最近、いわゆる「面白い働き方」をしている人とお会いすることが多くなりました。自らプレーヤーとなって事務作業から現場監督、営業、広報と全てに関わり有機的にものごとを繋げて、うねりを起こす。少子高齢化社会でモノが余る時代。「生産と消費」ではなく「利用と活用」が叫ばれている昨今、これまでとは違った産業として注目されています。
『建築—新しい仕事のかたち 箱の産業から場の産業へ』/松村秀一著(2013.12)
▲2015年3月に開催した「福岡のへそを楽しむ」でまちを舞台に仕事をするゲストを呼んでのトークイベントを実施。テーマは「まちの楽しみ方」
「そんな彼らにとって、はたしてこれまでのオフィスはあっているだろうか」
清川ロータリープレイスは、ずっと抱いていた疑問への回答としての新しい仕事場の形を模索し始めたのがそもそものはじまり。今の規定概念をいったんフラットにして考えなおす意も込めて「シゴトバ」と表し、シゴトバプロデュース専門の「冷泉荘不動産」を立ち上げました。
▲シゴトバプロジェクトのスタート時につくった活動誌
▲冷泉荘にある冷泉不動産の事務所
人と人がつながったり、アイデアや新しい仕事が生まれたり、といったことが日常的に起こる場を仕立てたい。そう考え昨年からいくつかのシゴトバプロジェクトを実行してきました。
▲2016年3月~7月31日の5ヶ月間プロジェクト「清川リトル商店街」
▲山王マンション1階のレンタルスペース「山王シェアカフェ凹ポコ」※2016年12月末まで
▲イノベーションスタジオ福岡から生まれたマテリアルマーケットさんとのコラボワークショップ
清川ロータリープレイスは、そんな私たちのチャレンジの場でもあるのです。
新高砂マンションのリノベーションは2004年からはじまり、主に2階以上の住居部分に関わってきました。その中で1階の約110坪の大空間がまちにもたらす影響は大きく、築100年を目指す私たちにとってまちに愛される場にしていきたい。
▲清川ロータリープレイス正面
ヨーロッパでは 政治、宗教、交流の場としての役割をもつ 都市機能のひとつとして「広場」が作られてきた歴史があります。日本では古来より寺社の境内がその役割を果たしていました。まちの人の拠り所であり、来訪者にとってはランドマークとなる場。清川ロータリープレイスが目指すのはそんな「まちの広場」。
▲2016年8月解体前の清川ロータリープレイス
きっとそれらは管理者と利用者という明確な2つの立場があったのではなく、同じ場を共有するものとしてお互いが等しく場に関わっていたのではないでしょうか。
梶原
※参照
日建設計総合研究所「都市のバリューを考える会」
連載コラムTopic28「活用される広場」とは?~何気なくつくられる広場について考える~