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スペースRデザイン
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*読みやすいし、書きやすいので一人インタビュー形式にしています

Q:前回デザインされた「オルタナティブルーム」から約1年後にデザインされたお部屋とお聞きしましたが。
A:はい。前作「オルタナティブルーム」から1年後の2008年8月、「レトロプラス」を作りました。「オルタナ」~「レトロプラス」の間、1年は自分にとってかなり濃い、充実した経験をさせていただきました。その経験から生まれたお部屋です。

Q:その1年間でどんな経験を?
A:はい。山王マンションで行った7人のデザイナーによる11室のリノベーションプロジェクト「山王Rプロジェクト」が完成。僕の役割はリノベーション工事全般のマネジメントと「オルタナティブルーム」のデザイン担当。11室を創っていく過程でたくさんのものを得ることができました。その後に行われたイベント「福岡リノベーションミュージアム」では全国から300名を超える方々がお越しになり、たくさんの方々から直接お部屋に対するご意見が頂けたのも大きかったですね。


Q:たくさんの方々と直接お話しできた事は大きいですね。
A:はい。その直後今回のお部屋「レトロプラス」があるマンション、新高砂マンションの大規模改修工事を担当しました。

『新品レトロスタイル』~古いものと新しい価値観の共存 ~をテーマに信濃設計研究所の信濃氏との共同プロジェクトでした。

改修内容は外壁改修工事と給排水配管更新工事。これは非常にいい経験をさせていただきました。賃貸マンションを長く使い続ける為計画的にハードの修繕が必要になってきます。その修繕する費用ってすごくお金がかかる。行き当たりばったりの修繕ではお金がいくらあっても足りません。そのため中長期の修繕計画や収益計画などを改めて見直し検討していく作業。また工事がスタートすると建物全体に足場を掛けてシートで覆いかぶせてしまう。入居者さんにとって音やホコリ、臭い。洗濯物が干せなかったり、部屋の日当りや風通しが悪くなったりとストレス。ご理解ご協力を頂く為、書面作成や直接お話しさせていただいたり。時には怒られ、時には感謝のお言葉をいただいたりと。

そんな経験をさせていただき、ビル経営としてのリノベーションの意味を考えるようになりました。そこが1年で大きく成長できたところです。

Q:なるほど。濃いですね~!!では、「レトロプラス」について教えてください。
A:はい。まずは建物の説明からですが、新高砂マンションは1977年竣工のビルで当時の公団(現UR)が民間オーナーの為に作った珍しい賃貸マンションです。つまり民間ビルなのですが、公
団仕様。ということもあり、古いそのままの素材、間取りの完成度が高い。そのまま綺麗に整えれば十分いけるお部屋でした。

Q:ではなぜリノベーションを?
A:先程お話しした続きですが、このマンションは次の30年、築60年を目指して排水管を更新しています。しかし、古い排水管を使いながら新しい排水管へ部屋を改装するたびに移行していくハイブリット方式にしています。つまり、部屋を改装する際水廻りを改修して新しい排水管へつなぐことが必須でした。

Q:なるほど、分かりにくい。つまり、水廻りを触らなくてはいけなかったわけですね。
A:はい。ありがとうございます。てことで、はじめは特徴を付けずに、原状のイメージをそのまま復刻すればレトロ好きの方に住んで頂ける。そう思っていました。しかし、まてよと。
当時の賃貸リノベのテイストって、レトロ系はレトロずくし。デザイナーズ的なものはそっち系ばかり。レトロ好きだけどデザイナーズも好きな人、居るはずなのになぜかそんな部屋はないなぁと。
いずれにせよ水廻りを扱うので、デザイナーズ的なものを少しだけ足してみようかと。そう思いました。

Q:具体的にどんな入居者さんをイメージされましたか?
A:ビンテージカーとかビンテージ家具とか好きで、Iphoneとか(当時)みんながまだ手にしていない新しいものが好きな人。新しいとか古いとか、そういうのは関係ないというか。。。そういう方をイメージしました。

Q:具体的なお部屋の説明を。
A:アメリカのルートロン社製のスイッチプレートやフランスのデザイナー、フィリップスタルクの洗面、グローエ社の水栓など。ちょっとミーハーな感じで、ちょっといい新品を加えています。また、バスルームはちょっとゴージャスな、大人な雰囲気。ちょっとエロな感じも(笑)。あと畳は普通のい草ではなくて、ちょっといい、い草。はじめから焼け色のベージュになってる特殊加工されてあるものでダニも出にくい。

Q:こだわりのあるちょっとチョイスですが、見た目あまり主張していないのがいいですねー。その他は?
A:先程お話したとおり洗面、トイレと浴室はすべてリニューアルしています。ですが、トイレ建具はそのまま残しました。新しいものと古いものの対比ですね。このスペースは新品ベースにレトロをプラス。以外の部屋はレトロベースに新品をプラス。その空間同士をつなぐ扉は30年前に作られた木製の浴室扉のデザインで復刻(笑)言わないと気付かないような、そんなこだわりもちょっとプラスしています。
オルタナティブルームでは、こだわりを部屋全体で表現した感じに仕上がりましたが、レトロプラスは控えめにしています。

音楽に例えると、アコースティックなサウンドに少しだけシンセ的な電子音を加えてみた、そんな感じですかねー。これが出来たのはアコースティックな部分、つまり既存のレトロな空間がよかったからなんですけど。ちなみに音楽に例えてますがド素人ですので(苦笑)

Q:でましたね(笑)音楽に例えるっ!!
A:あっ、それとこの木目プリントされた板。プリントだから味とかでないよねーと思いきや、味出てます!!セロハンテープ剥がした跡とか、傷の感じとか。本当の木ではないような、プリントならではの味ってあるんだなーって。

Q:なるほど~。味ですか~!!
A:はい。これを「汚い」と感じる方と「味わい」と感じる方。いいかえると「嫌い」と感じる方と「好き」と感じる方。程度はあるにしてもいらっしゃるかと思います。どちらも間違えではないし、どう感じるかは自由です。しかし、私達の作ったリノベーションにお住まいの方々は後者の方が圧倒的に多いです。そういった共通した価値感の方々が集まるマンションって素敵ですよね。

Q:完成から3年程経って、改めて見てどうですか?
A:他にはないですね。やっぱり。ここ新高砂マンション、しかもこのお部屋709号室でしかない正解かと。他のお部屋ではこの回答は成立しないかもしれません。
レトロプラス、自信を持って嫁に出せます(笑)

そんなレトロプラスはWaiting中です。気になる方はこちらへ
そしてその他のお部屋が気になる方は「北嵜剛司のリノベーションアーカイブの目次」へお願いします。

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