ここからはじまる。ビルとオーナーさんの奮闘記。
天神北。那珂川の河口にたつレトロビル。
天神北エリアに福岡県立美術館(旧福岡県文化会館)や須崎公園などがつくられたのは1964年。戦災復興計画との関係で、福岡県初の美術館、野外音楽堂など最先端の文化エリアとして整備されたようです。
永島ビルの誕生はそれよりも少し前の、1962年(閉鎖謄本の記録による)。新築当時の内装が、今でも一部そのまま残っていて、そこだけは時の流れが違うような佇まい。各階の内装を観察すると、木材を使った装飾からコンクリートのシンプルなものへと、このビルが辿ってきた変化の過程が伺えます。
永島ビルの4Fの共用部は、当初の内装そのままが残っています。
代替わりをし、4代目となった現在の永島ビルのオーナーさん。ビル経営の経験はゼロに等しく、右も左もわからない状態からのスタートでした。それでも、このビルを残していきたいという想いから、先代からの付き合いのある関係者の方や、ご自身の知人友人の力を借りながら、どんどん前に進んでいます。
2017年12月、外壁の改装にも着手しました。塗装やコンクリート等の躯体の補修と合わせて、ビルの外観をデザイナーさんにお願いしてリニューアル。那珂川の河口という立地と、建物内のビンテージ感からヒントを得て、船をイメージしたデザインが施されました。
最上階にはオーナーさんの事務所があります。オーナーさんが自主管理をされている永島ビルでは、建物の状態をつねにご自身の目でしっかりチェックされています。時には、巡回中に入居者さんとの会話に花が咲き、5階から1階に降りるのに1日かかったこともあるのだとか。顔が見える、人と人との関係の積み重ねが、永島ビルを包む大らかさの源なのかもしれません。
永島ビル建物概要
項目 | 内容 |
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所在地 | 福岡市中央区天神4丁目7-18 |
交通 |
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構造 | 鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付5階建 |
築造年月 | 1962年3月(※最も古い記録を参照) |
総区画数 | 5戸 |
建物設備 |
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