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スペースRデザイン
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9月8日~11日に開催された「日本建築学会学術大会」にて、「新高砂マンション」の取り組みをテーマとした梗概発表をしてまいりました。

梗概の内容は、現代都市における重要課題である「既存住宅ストックの維持・活用」に対し、吉原住宅・スペースRデザインが長年実践してきた取り組みを整理したものです。

新高砂マンションの取り組みと3つの特徴

本発表では、都市居住の受け皿として新高砂マンションが果たしている役割を、大きく3つの特徴に分けて発表しました。

1. 公団民賃ならではの高品質な建物

新高砂マンションは、「公団民賃(民営賃貸用特定分譲住宅)」制度を活用して建てられた、福岡でも最初期の物件です。

公団民賃とは、土地所有者が賃貸アパート経営を行う際、公団が住宅を建設し一定の家賃限度内で譲渡・経営を行う仕組みです。民間の設計・施工でありながら、公団の担当者による厳しい構造計算チェックや施工時の中間検査を経ているため、現在でも非常に高品質な建物構造が維持されています。

2. 時代に応じた段階的リノベーションと用途の多様化

住居として賃貸経営を継続しながら、退去で空いた部屋をリノベーションする、ということを積み重ねていきました。リノベーション工事は2004年から取り組んでおり、現在までの約22年間で、58住戸中43戸がリノベーション済みです。結果、その時々で異なる時代のニーズを反映させたリノベーション部屋が集積するマンションになりました。

例えば
ラグジュアリーなフルリノベーション:建築家による、分譲マンション的な室内空間の提供


▲大人のための上質リノベ空間(305号室,2006年完成)

レトロな雰囲気を活かした最小限の改修:経年がもつ味や素材感をそのまま価値として残す部屋作り


▲room astier~アスティエの似合う部屋~(605号室,2009年完成)

SOHO特化型プラン:水回り空間を最小限におさえ、多様な働き方に対応する住戸。


▲OFFICE±1(603号室,2018年完成)

こういったなターゲットが異なる部屋が集まることによって、多様なニーズが入り混じる都市居住需要の受け皿になっています。

3. 管理をとおした入居者さんとのコミュニケーション

賃貸経営を継続しながら段階的リノベーションを進めるうえで、既存居住者からの理解は不可欠です。

新高砂マンションでは、改修の必要性や建物が目指す将来像を事前に入居者に伝える丁寧な働きかけを行ってきました。そのような中で、顔馴染みの関係になった方もおられますし、マンション全体として安定した居住環境が形成されています。また、2022年から開催している「新高砂マルシェ」は、こういった関係性の中から誕生した入居者さん主催イベントです。


▲2026年2月に開催した「新高砂おれんじマルシェ」の様子

官民連携の原点から「築100年経営」の先へ

新高砂マンションの取り組みを整理する中で、元公団で民賃事業を担当されていた方から直接お話を伺う機会をいただきました。

住宅不足の時代において「質の良い住宅をいかに多く供給するか」という使命に、果敢にチャレンジした公団の方々のお話は、驚くことばかり。
私たちが感覚的に理解していた新高砂マンションのポテンシャルや価値を、より解像度の高い言葉で表現できるようになりました。

新高砂マンションが掲げる「築100年経営」という理念は、単なる一事業者の経営目標ではありません。初期の官民連携によって生まれた優れた建築資産を大切に育て、次世代へつなぐ「建築文化の継承」という広い視点を持って、これからも持続可能な都市居住のあり方を追求してまいります。

番外編:大会会場・安田女子大学プチレポート

今年の大会の会場は、広島市安佐北区にある安田女子大学でした。


▲正面1号館

こちらの大学には、2025年4月に日本の女子大学で初めての理工学部が開設されました。建築学科もこの中にはいっています。理工学部開設を機に建てられた2号館は、エントランスの植物群と大階段が印象的でした。

▲2号館のエントランス

敷地特有の起伏や自然環境を活かした配置計画が印象的で、年代ごとに異なるデザインの豊かな建物群が立ち並んでいました。


▲建物群を臨む


▲お昼時には、中央の芝生広場にたくさんの人が

あらためて、大学キャンパスってひとつのまちだなあと感じます。そして、大学があることで、学生が増え、まちが活気づく。ただ、そこには人が増えるということだけでなく、学問というものがもつ力のようなものも影響しているのではと感じます。キャンパス見学も含め、とても充実した大会発表でした。


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