今泉公園(通称:三角公園)の目の前に建つ、1971年築造の3階建マンション「筑紫荘」。
建築から約半世紀。まちと建物が歩んできた歴史を大切に守りながら、装いを新たに住居から事業用マンションへと生まれ変わります。
2階は店舗、3階はスタジオ・オフィスとしての利用。今泉のまちの特徴が建物にインストールされたような、個性溢れる事業拠点が集積する場を目指します。
まちの歴史を残す建物
建築当時の今泉のまちは建物のほとんどが木造戸建住宅であり、RC造3階建の「筑紫荘」は最新の技術を取り入れた建物でした。先代のオーナーは戦前のまちの開発事業に携わっていた経歴があり、災害に負けないような強固な住まいを、という想いをお持ちだったのかもしれません。
家庭に車がまだ広く普及していなかった時代に駐車場を設け、共用部にはダストシュートを設置。時代の先を行く考え方が取り入れられていたことが建物の造りから分かります。
建築当初の建物名は「筑紫荘」。その後「コーポ今泉公園」という名前へ変更しましたが、今回の再始動にあたり様々なことを調査した結果、原点である「筑紫荘」の名前へ戻すことを決めました。 昔、今泉エリアは警固村でした。1890年代に筑紫郡が発足しその中に警固村も属していましたが、1912年に警固村が福岡市へ編入し、現在に至ります。先代が「筑紫荘」と名付けられた詳しい経緯は分からないのですが、もともと今泉が筑紫郡だった歴史を建物に残されたのではないかと想像されます。
住まいとして稼働していた頃、オーナーさんは入居前に面談をおこない、また入居後もたまに顔を合わせる機会をつくっていました。
顔の見える関係性が育まれた、都心の中のあたたかな住まい。「筑紫荘」には、まちと住まう人のことを大切に、運営されてきた歴史が根付いています。
多様な物事が混ざり合うまちなみ
入り組んだ路地があり、多種多様なショップがあり、戸建てがあり、新しいマンションがあり、お寺があり。多様な物事が混ざり合うまち今泉。
都心機能を担う天神・大名の発展に伴い、隣接する今泉も店舗が増加傾向にあります。わざわざ人が訪れる、店主の個性溢れるお店が集積しているエリアです。一方で、この地には江戸時代初期に現在の地(中央区天神)に移転し天神の地名の由来となった「水鏡天満宮(容見天神)」があったことが伝えられ、その跡地は「容見(すがたみ)天神跡」として静かにその歴史を残しています。
Reboot -新しくはじまる場所へ-
建物の再始動にあたり、外壁や屋上など共用部全体のメンテナンス工事を実施しています。 外壁は、「今泉公園の隣の水色のビルだね」と親しみを持ってもらえたらという想いから、公園との調和を考えたカラーリングへ更新。共用部は建築当時の面影を残しながら、機能面を整えています。
建物を、次の時代へ。まちと入居者さんと一緒に歩みを続けます。
「筑紫荘」建物概要
項目 | 内容 |
---|---|
所在地 | 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1丁目7ー1 |
交通 |
|
構造 | RC造地上3階建て |
築造年月 | 1971年(昭和46年)10月 |
戸数 | 4戸 |