STORY
西鉄平尾駅から歩いてすぐ、漢方の大きなおじさんの看板の裏側に知る人ぞ知る通称「平尾村」はあります。
初めてその建物を訪れた時、長い期間手つかずだったことが分かるような傷み具合でした。一方で、縁側や建具など木造ならではの光るものが沢山あり、その空気感には建物の歴史や情緒が溶け込んでいるのを感じました。初めて店主さんが訪れた際に差し込んだという、窓からの美しい光は、「長い間、その時を待っていた」という意思表示だったようにも思えます。
工事では「建物の辿ってきた歴史と店主さんの感覚や心情の出会い」を大切にしました。解体材ひとつとっても再構築の可能性を模索したり、梁や柱のホゾ穴の場所への違和感から移築材を使っているという想像をしたり。当時を振り返ると、ごく自然に建物の尊厳を守っていたように思います。そうやって積み重ねた工事は仕上がってみると目に見える木部のほとんどが再構築したものとなり、まるではじめからそうであったようにも思えます。
初めて訪れてもどこか懐かしい感覚に浸れる美容室が完成しました。戦後から続くこの建物の新しい章のはじまりです。
所在地 | 福岡市中央区 |
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築年 | ‐ |
竣工 | 2020年1月 |
施工面積 | 56㎡(吹抜含む) |
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