西鉄平尾駅から歩いてすぐ、
漢方の大きなおじさんの看板の裏側に知る人ぞ知る通称「平尾村」はあります。
お豆腐屋さんや、カレー屋さん、ギャラリーなど粋なお店が立ち並び、集落ごと昭和に取り残されたような場所です。
今回、平尾村に新しく開業される美容室のお店作りのお手伝いをさせていただきました。
初めてその物件を訪れた時、長い期間手つかずだったことがすぐに分かるような状態でしたが、
その中にも縁側だったり、建具だったりと木造ならではの光るものが沢山あり、その空気感には建物の歴史や情緒が溶け込んでいました。初めて店主さんが訪れた際に差し込んだという窓からの美しい光は長い年月その時を待っていたという意思表示だったようにも思えます。
「建物の辿ってきた歴史と店主さんの感覚や心情の出会い」を大切に工事はスタート。
振り返ると建物の尊厳を守ることはごく自然に行われていたようにも思います。
（店主さんを始め、職人さんも私も）
それは解体材ひとつとっても再構築の可能性を模索したり、梁や柱のホゾ穴の場所への違和感から移築材を使っているという想像をしたり。そうやって積み重ねた工事は仕上がってみると目に見える木部のほとんどが再構築したものとなり、まるではじめからそうであったようにも思えます。初めて訪れてもどこか懐かしい感覚に陥ったり、ガラス障子の向こうの路地世界をながめたり。平尾という中心地にいながらこの感覚が味わえるのはここにしかないはずです。戦後から続くこの建物の新しい章のはじまりです。（ホンダ）
plateaux hair
プラトー
住所 福岡県福岡市中央区平尾2−14−21
営業時間 10:00~20:00
