BATON
『BATON』
いったい自分は何走者目なのか。
これまで積み重ねてきた45年の歴史。
走者がグランドで「BATON」をつなぐように、僕は建物と歴史の上で「空間」をつなぐ。
前の走者は大学の後輩である「おとめぶた」という女性ユニット。2008年に部屋全体を使ってライブペイントを行った。
スタートラインにたつ。後輩の「おとめぶた」が僕めがけて全力でBATONを握り走ってくる。僕はそのBATONを落とすまいと、両手でしっかりと握り走りだした。
さてどこへ向かい、どう走ろうか。
どんどんと加速し走る。するとだんだんそのBATONの温かさに気がつく。中を覗くと45年間をつなぎ走ってきた走者達の想いがぎっしりと詰まっていたのだ。
次にこのBATONを握る走者はどんな人だろうか。そして僕は次の走者に何を詰めてBATONを渡そうか。
デザイン:北嵜剛司((株)スペースRデザイン)
Photo:日髙康智(air studio)
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- Tel. 092-720-2122
- 受付時間 9時〜18時/定休日 日・祝日
お部屋のポイント
『賃貸らしい歴史、魅力の積み上げる仕組みを考える。』
賃貸マンションの分譲と違ってお部屋を借りて住まうという前提があります。所有しているわけではないので、ある一定期間住まい、原状回復をして元に戻して返却するという仕組みが一般的です。
リノベーション物件も例外ではありませんでした。
この仕組みでは古い建物は時間が経つにつれてどんどん朽ちいくのではないかと思うのです。住まう人同士やお部屋の歴史をつなぐBATONになるような新たな賃貸の仕組みをつくること。。
それは時間が経つごとに朽ちていくのではなく、さらに魅力を増していくのではないかと思います。
no.12 デザイナーインタビュー #206 北嵜剛司 – R100プロジェクト
スペースRデザイン 続・山王R ディレクター:北嵜 剛司
リーシングコメント
1つの部屋を通じて、生活する入居者さん達や部屋の歴史をつなぐ
広々ワンルーム。なかなか探してもないんですよね。
最初から部屋が区切られている場合、どうしても1室あたりの広さが決まってしまって、生活スタイルに合わせて広さを調整することができません。ところが、広々ワンルームの場合は家具などの位置や高さを調整することで、自分の生活スタイルに合わせて部屋の広さや空間の使い方を調整することができます。
部屋の隅を見てみると、壁から少し離した場所にカーテンがあります。これは、見せたくない収納などがある場合、カーテンを広げることで隠すことができるようになっています。しかも、このカーテン(正確に言えば「布」です)。簡単に取り外しや入れ替えが可能。現在お部屋に設置している「布」は1色×3枚ですが、この「布」の色や素材を変えて組み合わせることで室内の雰囲気を変えることができます。壁に絵を飾るような感じですね。
キッチン方向を見ると広めの土間がポツリ。この土間では、観葉植物を飾っても色が映えていいかもしれません。植物に水をやるときもモルタルなので多少こぼしても大丈夫です。また、靴をクリーニングしたり自転車のメンテナンスをする場所にもいいですし、好きな靴や、絵を並べてギャラリー風に使用してもいいかも。
そして、この部屋で最も触れて頂きたいのが所々に残っている絵です。この絵・・・・というか室内全体。以前学生さんが室内で行ったイベントの痕跡なんです。そこに、デザイナーさんの感性(間合い)と機能が加わり住宅になりました。
賃貸住宅っていいな~と思うのが、「住みつなぐもの」であるということです。分譲のように所有しているわけではないので、1つの部屋を通じて、様々な入居者さんが過ごすことになります。それぞれの入居者さんの気づきや、感じたことをつないで部屋に蓄積させていく。
オーナーさんは数ある物件の中からこの部屋を選んでくれた入居者さんに感謝して、入居者さんはその時間を過ごした部屋に感謝して、次に住む人にも少しその感謝を残す・・・バトンの形も様々です。
1つの部屋を通じて、生活する入居者さん達や部屋の歴史をつなぐ「THE BATON」です。
スペースRデザイン リーシングチーム:小林 哲
デザイナーコメント
,strong>経験と拠所
弊社ディレクター北嵜がデザインしたこの部屋。
たくさんの個性的な要素が混在しながらまとまった状態を創り出しています。しかも、体感すると何だか自然に居心地がいい。
なぜでしょう。
実は2つの空間操作がなされているのです。
1つは色。
室内の面の大多数を占める床、そして壁。床の赤茶色は山王マンションの外壁タイルの近似色を採用し、室内壁のベージュは外壁塗装の同色を採用しているのです。山王マンションの外で感じた経験を自然に内部に引き込み、経験の蓄積を行なっているのです。
もう1つは土間。
各室を繋いでいるのは、一段下がった土間。トイレに行く時も、わざわざ一段下がるかジャンプしなくてはなりません。個性の強すぎる各室をまとまるニュートラルな場として土間の効果は絶大でこの部屋の拠所となっているのです。
土間はこの部屋で起こる個性的な歴史と経験の蓄積を繋ぐため、バトンを受け渡されるスタート地点のように、心を落ち着かせながら、次にジャンプする大切な場所なのです。
スペースRデザイン 再生デザイナー:森岡 陽介
この部屋の間取り図
この部屋の建物の地図
家賃 | ***** |
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敷金 | 2ヶ月 |
礼金 | - |
広さ | 48㎡ |
間取り | 1LDK |
取引態様 | 専任媒介 |
契約形態 | 定期借家契約2年(再契約可) |
現況 | 入居中 ≫ 空室待ち申し込み |
建物住所 | 福岡市博多区博多駅南4-19-5 |
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交通 | 西鉄バス 扇町バス停 徒歩1分 西鉄バス 山王1丁目バス停 徒歩3分 |
築年 | 昭和42年(1967年) |
デザイナー | 北嵜剛司((株)スペースRデザイン) |
リノベーション完成年月 | 2012年12月 |
備考 | 住宅総合保険:加入義務あり 家賃保証契約 |
更新日 | 2024年05月30日 |
次回更新予定日 |