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スペースRデザイン
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「大学研究からまちの活性化を学ぶ部会」(吉原ラボ)にて、東京工芸大学 森田先生のご案内で神奈川県住宅供給公社が進める団地活用プロジェクトを見学させていただきました。森田先生は、スペースRデザイン/吉原住宅の取り組みについて著書に取り上げていただいています。今回は竹山団地(横浜市)と緑ヶ丘団地(厚木市)をご案内いただき、それぞれのプロジェクトについて学ばせていただきました。
また、翌日にはエンジョイワークスさんが開催された次世代まちづくりスクール「まちづくりプレイヤーズ」にて、全国で活動されている方々のお話を伺うことができました。横浜視察の2日間をレポートします。

竹山団地 - 教育を軸にした学生の力を活かす地域づくり

1971年築の竹山団地(横浜市緑区)は、9棟290戸の団地。団地内の敷地中央には生態系を守ることを目的に人工池ががつくられていたり、建物の構造にピン構造が採用されていたりと、見た目にもとても特徴的な団地です。ここでは公社と神奈川大学サッカー部が連携し、4~5階住居に学生が寮として住みながら地域活動に参画する仕組みがつくられています。また団地内の空き店舗も活用し、学生が運営に関わっています。


商店街のあるこちらの建物は、ピン構造が採用されており、1階が商店街、2階が駐車場、3階以上が住居。


「未来研究所 竹山セントラル」:横浜銀行跡地をリノベーションし、体操教室など心と体に関わるイベントを開催。地域住民同士の交流を深める場所として活用している。

このプロジェクトは、神奈川大学サッカー部の大森監督の想いからはじまりました。大森監督はご自身の経験から「凡事を大切にし、人として成長することが良いサッカーにつながる」という想いを持たれています。団地内での地域活動を通して、関わる人たちへの思いやりを持つ心を養うことができると考え、団地を寮として活用できないかと提案。その想いに共感した神奈川県住宅供給公社の担当者(水上さん)が大学の連携協定などの新しい仕組みをつくり、実現しました。


「空気研究所 竹山エアラボ」:低酸素トレーニングができるジム機能を備えている。


「食文化研究所 竹山キッチン」:サッカー部のみなさんで運営されているカフェ。学生さんたちが近隣の畑で育てた野菜が食材として使用されている。

現在、5年目を迎えたプロジェクト。当初は学生さんたちの賛同を得るのが難しい時期もありましたが、団地内活動を通して入居者さんとの交流が深まるにつれて、学生さんが活動に主体的に取り組むようになり、数年かけて取り組みが自走するようになったということです。

多方面の利点を埋め込んだ仕組みがつくられていることが、このプロジェクトの大きな特徴だと感じました。公社としては賃料収入、大学としては広報ブランディングの強化、団地住民さん達は地域コミュニティの活性化、行政(横浜市)としてはSDGsの推進に関する取り組み推進など、関わるいろんな人たちのメリットを組み合わせた形になっており、将来を見据えた持続的なプロジェクトとなっています。

 

緑ヶ丘団地 - 学生と住民が共に創る「みどラボ」

緑ヶ丘団地(厚木市緑ヶ丘、1964年築造)では、東京工芸大学と連携し「ミドラボ」というプロジェクトが進められています。フェンスで閉ざされた団地のスペースを少しずつ開きながら新しい生活の風景を生み出す「オープンストリート」構想や、集会所をリノベーションし活用するなど、学生が主体となって地域活動を展開しています。


「緑ヶ丘団地」:12棟400戸の団地。外壁がきれいにメンテナンスされている。


赤色の通路は、新たにつくった遊歩道。団地内の屋外スペースを開きコミュニケーションのきっかけをつくることを目的とした試み。


2025年3月にリノベーションされた集会所。これからコミュニティスペースとして活用されていく。

このプロジェクトは、東京工芸大出身の公社担当者(茶屋道さん)が社内外へ連携を提案し実現したものです。東京工芸大の特色を活かし、漫画、冊子、写真などの多様な手段で、団地に対する取り組みが表現されていることが特徴的でした。

また、こちらの団地には団地サポーター制度が導入されていました。連携している大学の学生が入居し団地内での地域活動に参加することで、家賃が補助される仕組みです。実際にサポーターとして入居中の学生さんは、実家が遠方であることがきっかけでこの制度を利用したそうですが、より安心して団地で生活できているように感じるとお話されていました。


集会所の中で開催いただいた勉強会。

森田先生より、空き家を有効に使っている事例についてレクチャーをいただきました。事例が掲載されている書籍は、スペースRデザインの書籍紹介ページでもご紹介させていただいています。(「○○大工、NEO工務店、シン旦那」,新建新聞社,2024年8月

まちづくりプレイヤーズ - 共に学び、成長する場

エンジョイワークスさん主催の「まちづくりプレイヤーズ」に参加させていただきました。
まちづくりに関する横断的な知識やノウハウ・実践授業を通して未来を創造するまちづくりプロデューサーを目指す「まちづくりスクール」(2020年より開講)。今回開催された「まちづくりプレイヤーズ」は、スクールの開講以来、教授と受講生の間にさまざまな協働が生まれてきたことをきっかけに、「教える先生/教えられる生徒」という垣根を超えて学び合うためにつくられた新たなプラットフォームです。協業する仲間づくりを目的に、受講生の方々による活動プレゼンと、教授陣との意見交換が行われました。


神奈川県住宅供給公社の本社1階「Kosha33」(横浜市中区)にて開催された。

5年目となるまちづくりスクール。イベントでの受講生のみなさんが経験を共有し学び合う姿勢に大変感銘を受けました。その根底にあるのは参加者さん同士の信頼関係。それぞれの価値観を表明して理解し合える、誰もが安心できる場づくりが行われていました。そして社会や時代に求められることを自問し、積極的に変化されていくエンジョイワークスさんの姿勢も大変勉強になりました。


講師として吉原も登壇。4月から開講する吉原ゼミの概要をお伝えしました。


モグローカル(栃木県日光市)の江田さんがイベント当日に開催された「スナックもぐら」。江田さんは旧今市市(現:日光市)の地域課題解決や場づくりを展開されている。

人の想いを起点にはじまる不動産再生・まちづくりの現場を見た2日間。建物、まち、人のペースに合わせたプロジェクトの形がつくられているからこそ、何年にもわたって継続され、着実に根付いていくのだと思います。
ご案内いただいた森田先生をはじめ、大森監督、公社のみなさま、本当にありがとうございました。福岡でも日々のプロジェクトから学び、発信を続けたいと思います。

スペースRデザイン 新野


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