1971年築の木造一戸建て「西浦ルービック」の建物前にある小さな庭には、もともと入居者である学生向けに設置されたコインシャワーがありました。
学生向けアパートとしての役目を終えた建物と同時にコインシャワーもまたその役目を終え、この度、コインシャワーが設置されていた庭を入居者さんや来訪者が使うことができるバイシクルパーキングへつくりかえることになりました。
プロの職人さんにお願いして美しく仕上げていただくという選択肢もあったのですが、DIYによる手仕事の温かみを感じるような空間にしたく、今回は参加者を募ってのワークショップで庭づくりを行うことにしました。
ワークショップを開催するにあたっての決め事は、次の3つです。
①置かれていたコインシャワーの痕跡を残すこと
②長く庭に植わっている「カンナ」の花をシンボルフラワーとして残すこと
③素人がDIYでできること
さて、ワークショップ当日。
オーナーさんを含む集まった参加者は、秋晴れの空の下、講師として来ていただいた「Moon green」植物プランナーの池田慶子さんに今回のお庭のコンセプトの説明を受けています。
この日当たりの良いスペースにはこういう植物を植えて、庭に敷くレンガはこういう敷き方の方がDIYでやりやすくて、、、と丁寧で分かりやすい説明。
気温もちょうどよく、まさに絶好の庭づくり日和で、なんだか穏やかな時間が流れています。
説明をきいた後「では、実際にやってみましょう」という言葉と同時に参加者の皆は教えていただいていた段取りで作業を開始します。
実は全員何かしら庭づくりの経験がある方だったようで、作業が始まってからは早いはやい。
お互いに声を掛け合いながら手際よく砂利をまいていきます。
地盤補強用の砂利を敷いたあとは、雨水が流れていくように傾斜を取りながら足で踏み固めていきます。
小鳥のようにトコトコあるくメンバー。なんだか楽し気です。
実はこの傾斜をとりながら砂利を踏み固める作業が意外と大変で、こっちがへこんでいる、こっちが盛り上がっていると声を掛け合いながらちょっとずつ均していきます。
一見地味ですが、ここが基礎になる部分なので意外と重要な作業なんです。
その後、表面を平滑にするために砂をまき、これをまた踏み固めていきます。
全面に砂をまき固めたところで、早いもので、もう正午。
お待ちかねのお昼休憩の時間です。
昼食は西浦ルービックの2Fで、各自持ち寄ったご飯を食します。
皆さんリラックスした様子です。
食事をしながらも話しに花が咲き、西浦ルービックやこのまちの歴史の話、自身の庭づくりの体験から、果てはサウナの話、クラフトビールの話にまで話題は広がり、、、笑。
気づけば憩いのひと時は談笑のうちにあっと言う間に過ぎ去り、、、打ち解けた様子の参加者は、引き続き午後も作業を続けるのでした。
ということで、午前中に済ました下地処理を引き継いで、午後はいよいよレンガ敷きです。
目地をとりながらひとつづつレンガを敷いていきます。
レンガが少し曲がったり、隙間が不揃いなのも手作業ならではの雰囲気がしていいもではないでしょうか。
参加者の皆さんどうしでの会話も活発で、ただ庭をつくるという作業が参加者同士の交流の場になったり、道行く人からは「ここは何になるんですか~?」と声をかけていただいたり、このワークショップ自体が、この場所に活気もたらしているようで嬉しくなります。
レンガを敷き終わった後は、目地に砂を流し込み、水をかけ砂を締めこんだら、レンガ敷き作業は完了です。
実はコインシャワーが設置されていた位置がなんとなく分かるようにちょっとした細工をしているんですが、分かりますか?
最後にシンボルフラワーの「カンナ」を囲うように植栽を植え、目にも楽しいお庭+バイシクルパーキングが完成しました。
※花壇に植えた球根。時季になれば華やかな花を咲かせてくれるはずです。
ビフォーアフターを比べてみるとこの違い。
Before
After
これをほぼ一日で完成させてしまいました。。すごい。
築50年を超え、新しい歴史を刻み始めた「西浦ルービック」。
みんなで完成させたこの庭も、西浦ルービックの歴史としてこれから先、後世に伝わっていくことでしょう。
ということで、小さな庭づくりワークショップこれにて完了です。
手作りとは思えないほど見事なお庭と、まちに開けた場づくりができたワークショップになりました。
最後に参加者みんなで記念に一枚。
みなさん、素敵な笑顔です。
お疲れ様でした。
いとう