築51年の木造戸建 西浦ルービック。
この建物は「1971年をまとった変幻自在の未完成空間」というサブタイトルの通り、建築当時のパーツや雰囲気をまといながら徐々にその姿を変えていきます。
元学生アパートとして使われていた二階はリノベーションを行いフォトスタジオに。
そして、おばあちゃんが住んでいた一階は、今回のリノベーションで美容室へ生まれ変わります。
一つの住宅を二つのお店がシェアし、築50年を超えた西浦ルービックは装い新たに第二の人生(?)を歩み出しました。
ということで、西浦ルービック1階の美容室「SO」さんの内装工事の竣工報告をさせていただきます。
ちなみに今回特に頭をひねったのが建物を支える構造柱の扱いです。
建物の中心に数本「抜けない柱」が存在しており、そのまま残すと単に通行の妨げになる柱になりそうでした。
この建物を長年支えてきたこの柱たちを今回の改修工事によって邪魔な柱にしたくなかったので、どうやってこの柱にこの空間における意味を持たせることができるかを考えました。
色々と考えた結果、今回はその柱が囲む床を坪庭に見立て、家の中心に小さな庭をつくることにしました。
ちなみにこれがBeforeとAfterの図面です。
Before
After
いかがでしょうか?
やや突飛なアイデアではありますが、施主さんもこの案を快く承諾していただき、今は元々のお店で育てていたウンベラータが収まりよく植わっています。
建具を加工し再利用したり、天井裏に使われていた板を床に貼ったりと使えるものを再び使うということも今回の工事で大切にしたポイントです。
その外にも靴棚の目隠しやキッチンの吊り戸、玄関たたきのタイル、和室の天井など、当時の面影を感じる素材をあえて意匠として残しながら、全体的には白塗装ですっきりとまとめました。
お店の看板は施主さまが自ら素材のブリキを見つけてこられたこだわりの逸品で、まるで昔からそこにあったかのように建物にフィットしています。
施主さまが用意された雰囲気のいいアンティークの家具や照明、大きな鏡などが相性良くそしてバランスよく収まり、明るく優しい雰囲気の空間になりました。
施主さんと建物の特徴や歴史が程よくミックスされた、明るく柔らかい素敵なお店です。
丸眼鏡と帽子がトレードマークのチャーミングな美容師さんがお待ちしてます。
気になった方はぜひ、覗いてみてくださいね。
以上、竣工報告でした。
いとう