11月4日(月)~10日(日)6年目の福岡DIYリノベWEEKが開催されました。私たちも会員であるNPO法人福岡ビルストック研究会主催のもと、福岡県から11チームが参加。(スペースRデザインも4つの建物で参加しました。)期間中延べ950人超の方にお越しいただきました!本当にありがとうございます。
リノベWEEKの歴史を振り返りつつ、一週間の様子をレポートします。
福岡DIYリノベWEEKの成り立ち
2014年より、DIYリノベーションで社会課題解決に取り組み、魅力的な場所を作り出している福岡県内各地域のチームが共同で企画するツーリズムイベントです。(主催:NPO法人福岡ビルストック研究会)
2018年11月開催「大牟田全員集合シンポジウム」全チーム集合写真
きっかけは、2012年「ビンテージビルカレッジ」。福岡県内外から講師を招き、ストック活用やまちづくりについて学ぶ全5回シリーズの講演会(主催:NPO法人福岡ビルストック研究会)です。経年変化した賃貸ビルを味わいある「ビンテージビル」として捉え、まちの景観として、まちの拠点として熟成させていきたい、それはまちの活性化にも寄与するはず、という想いのもと開催されました。
そしてその想いに共感し参加していたうちの数人が、お互いに学び合い、情報交換を続け、お互いの地域を結ぶツーリズムをやろう!と動き出し、DIYリノベWEEKが始まっていきます。2017年からは、福岡のみならず鹿児島、熊本へその活動が広がり「九州DIYリノベMONTH」も始まりました。
※福岡DIYリノベWEEKの2014年~2017年のアーカイブを書籍にまとめています。各チームの活動紹介やDIYリノベでまちを活性化させていく仕組み(理論)について記録していますので、ご興味ある方は「書籍紹介」のページよりご覧ください。
福岡DIYリノベWEEK/九州DIYリノベMONTH2019パンフレット。参加全14チームの一覧。
WEEKでの出会いと学び
WEEK期間中は、毎日どこかの拠点でイベントが開催されていました。WEEKの参加チームは、毎年の各地の活動状況によって入れ替わりがあり、WEEK自体が「自由で風通しの良いコミュニティ」(久留米市:半田啓祐さん談)。その年の参加チーム拠点を巡っていただくと、最新のDIYリノベの動きを見て回ることができると思います。中には、毎年リピーターとなり福岡、DIYリノベの定点観測としてお越しいただく方もいて、チームにとっては、WEEKを通してひとや新たなまちとの出会いがあることが一番の楽しみとなっています。
【01.リノベーションミュージアム冷泉荘】スタートアッププレゼン
【02.リノベーションミュージアム新高砂マンション】パネル展 タイムスリップ・リノベーション
【08.コーポ江戸屋敷】ウッドデッキベンチ製作ワークショップ
足を運んでくださる方は、まちづくりに携わっている方、研究者、行政の方、不動産・建築関係の方など、そして拠点となる建物のご近所さんまで、本当にさまざま。今年は海外(韓国)の研究者の方や、建築を学ぶ学生さんも来てくださいました。
私たちの活動を来訪者の方々に見ていただき意見交換することで、自分たちの活動を見つめ直すきっかけになり、多角的な視点からの学びを得ることができる有意義な期間となりました。
2019年新たな取り組み「オフィシャルツアー」
今年は参加者のみなさんと現地集合・現地解散の「オフィシャルツアー」を開催。参加者の方が各地のメインイベントを余すところなく、効率よく回っていただけるように、チームで連携して各地を巡るツアースケジュールを組む初の試みです。
日程表からもお分かりいただけるように、各地の連携が必要不可欠なツアー。活動を続ける中で、各地の繋がりや想いが深まることで実現できたと思います。
【03.リノベーションミュージアム山王マンション】オフィシャルツアーで共用部を見学する様子
ツアーには、東京、名古屋、大阪、韓国など、遠方から福岡に宿泊して連日ご参加いただいた方がほとんどでした。ありがとうございます!
久留米全員集合シンポジウム・同時開催 九州“不動産賃貸学”研究会発表
全体のメインイベント「久留米全員集合シンポジウム」(11月9日開催)。150名超の方にご参加いただきました。
WEEK・MONTH全14チームが活動をプレゼン。自分達の拠点の歴史、これまでの取り組み、今年の活動、今後の構想を各地5分で凝縮。発表後は研究者の方から講評をいただき、各地の取り組みについて深め合う時間となりました。
そして、特別企画として九州“不動産賃貸学”研究会発表会も同時開催しました。
2019年6月の賃貸住宅フェアにて発足を発表した「九州“不動産賃貸学”研究会」の第一回となる研究発表会。西野 雄一郎助教(福岡大学 工学部 建築学科)、信濃 康博 准教授(九州産業大学 建築都市工学部 住居・インテリア学科)、長 聡子 准教授(西日本工業大学 デザイン学部 建築学科)、吉原 勝己(スペースRデザイン代表・学術チーム)が研究発表を行いました。
遊休不動産を活用したいオーナーと、研究の場を求める大学・企業。両者の出会いの場があれば、オーナーとしては遊休不動産活用の試みに挑戦でき、大学としては学生の学びの場を得て研究することができる、相互に大きなメリットがあります。この研究会が両者の出会いの場となり、遊休不動産が活用され、大学の“不動産賃貸学”研究が活発になり先進事例の研究が行われ、社会への還元ができてくると、将来のまちの活性化に繋がる大きな動きになると感じました。
参加者としては、先進事例について一挙に複数の大学の先生からお聞きすることができ、とても貴重な時間でした。また私たちが拠点で日々の活動をする中で、活動や成果、課題を客観的に抽出・分析することは中々難しいと感じます。今回の発表からは、客観的に理論化する視点を学ぶことができました。
研究発表後は、会場全員でまちづくりの意識を高めるワークショップを行い、最後の最後まで充実した時間でした。ファシリテーターは、スペースRデザインのコントリビュート社員でありテンジン大学学長の岩永 真一さん。
これからのまちを楽しく
5年間の歴史が積み重なり、そして新しい企画にも挑戦し、内容が盛りだくさんのリノベWEEK。スペースRデザインが建物の歴史を大切にし、その建物と時代の先を見据えた取り組みに挑戦していることと共通していると感じます。
山王マンション「DIYで建具をつくるワークショップ」の昼食風景
リノベWEEKで生まれるひとや建物とまちの繋がりが、これからのまちを楽しくするひとつの要素にきっとなっていくんだろうな、とわくわくするような、身の引き締まるような気持ちになった一週間。来年のWEEKメインシンポジウム会場は大牟田市。またみなさまに活動を報告できるよう、今日からまたていねいに取り組んでいきたいと思います。
福岡DIYリノベWEEK・九州DIYリノベMONTH公式サイト
http://diyrweek.npo-fbs.com/
福岡DIYリノベWEEK・九州DIYリノベMONTH Facebookページ
https://www.facebook.com/FUKUOKADIYR/
スペースRデザイン 新野