8月22日㈯、スペースRデザインの新たな試みである少人数の勉強会「SRDミニセミナーVol.04」を開催いたしました。
月に一度、スペースRデザインが不動産再生の現場で培ってきた実務の知見や学びをみなさまと共有し、これからの賃貸経営を考える時間になればという想いからはじめた勉強会。
第4回目の開催となる今回は、「選ばれ続ける建物の魅力の伝え方」をテーマに、広報チームの新野、井上がお話させていただきました。

私たちが考える広報や情報発信は、単に「空室を埋めるためのPR」にとどまりません。
今回はAI時代と言われる現代の、お部屋探し文化の変化を踏まえながら、私たちが日頃、不動産再生の現場で実践しているコンセプトづくりの考え方や、ニュースレター・イベントを通じた具体的な情報発信の事例をご紹介させていただきました。
広報チームと「学術部門」としての取り組み
回の冒頭では、広報チームの紹介ともに、私たちが取り組む「学術部門」の活動をご紹介しました。
スペースRデザインや吉原住宅の不動産再生現場で生まれる感覚や知見、経験を分析・言語化し、大学講義や建築学会での発表を通して社会へ発信しています。教科書のない不動産再生の現場だからこそ、自分たちの取り組みを言葉にして広く伝えていく活動を大切にしています。

なぜ今、建物の「物語」が重要になるのか?
私たちの原点は、2003年の山王マンション(福岡初の賃貸リノベーション)以来、建物の成り立ちや想いを発信し続けてきた吉原住宅での実践にあります。
私たちが目指すのは、「長期的な安定経営と次世代への継承」です。
そのためには以下の要素が循環していくことが重要だと考えています。
私たちの目指す、賃貸経営の循環
1:物語(建物やまち、暮らし方の価値観)に共感する人が集まり、愛着を持って長く住んでもらう。
2:口コミや紹介が起き、「次に住みたい人」が現れる。
3:「この物件・このオーナーらしさ」が積み重なり、物件のブランドが向上する。

これらに共通するのは、「どんな人に出会えるか?」ということです。
だからこそ、「どうやって、誰に、どんな情報を届けるか?」を設計することが重要になってきます。
さらにセミナーでは、生成AIの普及による「お部屋探しの動向の変化」についても共有いたしました。

若い世代を中心に、ポータルサイトでの条件検索だけでなく、AIに自分の悩みや好みを相談してお部屋を提案してもらう文化が広がっています。
スペック情報だけの物件はAIに機械的に比較されてしまいますが、独自のストーリーや想いといった一次情報がある物件こそ、AIからも、人からも『唯一無二の魅力』として見つけ出される時代になっています。
だからこそ、「どんな背景や想いがあり、どのような暮らしができるか」という物語を言葉にして届けていくことが欠かせません。
私たちが長年大切にしてきた「物語を届ける」という取り組みは、新しいテクノロジーの時代を迎えた今、これまで以上に重要性を増していると感じています。
また、入居者さまとのコミュニケーションのひとつとして、2009年から管理物件の全戸へ、「ニュースレター」をお届けしています。
イベント情報やスタッフの日常、入居者さんコラムなどを編集して掲載し、管理会社の存在を身近に感じてもらいながら、建物への愛着をともに育む緩やかなツールとして今も大切に続けている取り組みです。

▲2009年に発行した1通面のニュースレター
(当時はひとつひとつ手書きで作成していました。)
建物の背景を届ける、情報発信の実例
セミナー後半では、情報発信の軸となる「コンセプトのつくりかた」と、その実践事例をご紹介しました。スペースRデザインが関わらせていただいた3つの事例をご紹介しました。
「建物・まち・オーナー・社会」の4つの要素からその建物ならではの魅力や特徴を捉え、言葉(コンセプト)に整えるところからスタートしています。
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筑紫荘(福岡市中央区今泉)
全戸空室・工事中のタイミングで「ビルはじめ」イベントを開催。古地図から紐解いた建物名の歴史や再生ビジョンをオープンにし、工事前から建物のファン(応援者)を募る試みを行いました。

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西浦ルービック(福岡市中央区六本松)
学生用コインシャワー跡地を駐輪場へ再生するDIYワークショップを開催。「歴史の痕跡を残す」というルールの下、オーナー様ゆかりの専門家や参加者と一緒に作業し、食を交えた交流を通して場への愛着を育みました。

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茶山ゴコ(福岡市城南区茶山)
シェアハウスから新たな運営形態への変更期に「茶山ゴコびらき」を開催。備品譲渡会や思い出写真展、2階テナントさまとの協働出店など、感謝を伝えながら建物全体をまちにひらく節目の一日となりました。

セミナー後には、弊社代表の德永も交え、ご参加いただいたオーナーのみなさまと意見交換や交流の時間を設けました。
SNSとニュースレター(紙媒体)の役割分担や、AI時代の新しいお部屋探しへの向き合い方、実際の管理運営のリアルな悩みまで、多様な視点から活発な意見が飛び交う時間となりました。

選ばれ続けるための3つのステップ
今回のセミナーを通してお伝えした、建物の魅力を届けるためのステップは以下の3つです。
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見出す(発見):スペックではなく、歴史やオーナー様の想いから、建物が持つ「らしさ(コンセプト)」を掘り起こす。
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編集する(整える):コンセプトを発信の軸にし、工事や変化のプロセスも価値ある物語として整える。
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継続して届ける(ファンづくり):未完成なプロセスも発信し続け、理念や物語に共感するファン(入居者・地域)とつながる。

物語を「つくる」のではなく、建物にすでにある魅力をあらためて見い出して「伝え続けること」で物語となっていきます!
ご自身の建物にも、まだ言葉になっていない「らしさ」や「背景」がきっと眠っているはずです。本セミナーが、みなさまの賃貸経営や情報発信を見つめ直すきっかけとなりましたら幸いです。
イベントのご案内
スペースRデザインでは、実際の現場をご覧いただける見学会やツアーを定期的に開催しております。
次回のイベントは、2026年8月29日(土)開催の「山王マンション602号室 リノベーション完成見学会&ビンテージビルツアー」です!
デザイナー仲條によるお部屋の解説や、山王マンションの歩みをご覧いただける機会となっております。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
▼詳細・お申し込みはこちらから
[山王マンション602号室 リノベーション完成見学会&ビンテージビルツアー]
スペースRデザイン いのうえ
