先日、日本建築学会が開かれ、その中で企画された、これからの住宅地計画を考えるシンポジウムに、事例報告者として登壇しました。
△今年は学会もオンライン開催でした(※シンポジウムの司会をされた大阪市立大学西野先生より提供)
シンポジウムの主旨としては、
- これからの住宅地計画は、計画して終わりではなく、その後の持続性や活性化において、「共に歩む=伴走する人」が必要なのでは?
- コロナ禍において起きた変化を知ることで、効率や合理性以外の集まって住むことの意味が浮き上がってくるのでは?
というテーマ設定をもとに、共有するものが異なる、シェアハウス・公的団地(UR団地&供給公社住宅団地)・民間賃貸住宅・戸建て住宅地の5事例を通して考察するというものでした。
この中で、私たちは「民間賃貸住宅」の立場からの事例紹介ということで「コーポ江戸屋敷」での取り組みを報告させていただきました。
2016年より始まったコーポ江戸屋敷プロジェクト。リノベーションやカレッジ、隣人祭り、花壇づくりワークショップや入居者さんとの食事会、DIYワークショップに団地交流会などなど…。ほんとうにいろんなことをやってきました。
※詳しくはコーポ江戸屋敷のマガジンにて
その一つ一つの取り組みで蒔いた種たちが、徐々に芽を出して花を咲かせ始めているという感覚があります。それはどういったことが背景にあり、なにがきっかけとなり、なにが効果を生んでいるのか。仮説ではありますが、現時点でのわたしたちの考えをお話しさせていただきました。
他のみなさんも、それぞれの活動の枠組みや建物のタイプも違う中で、できることをオリジナルで組み立てながら実践されており、新しい発見、勉強になることばかり。
以下、ほかの事例について、わたし目線ですが、少しご紹介
- シェアハウス
- 高齢者と海外の女性を対象にしたシェアハウスの事例報告。集まることを目的とするのではななく、個を尊重するために集まる。従来の個と共の並置・相互浸透を目指す枠組みを考える。
- UR団地
- 広い敷地を活した、外部空間での取り組み事例の報告。人事異動があるため、同じ担当者がずっと同じ団地にかかわれないという課題がある。
- 供給公社
- ここの団地が故郷であるという、シビックプライドを育てる。コミュニティスペースやDIY工房を設置した団地の取り組み。持ち寄り図書館からスタートした活動が住民主体の動きに広がりつつある。
- 戸建て住宅地
- 建築協定で良好な景観維持をしてきた住宅地の事例報告。世代の入れ替わりや高齢化の中で、景観を維持しつつも建築協定をどう変化させていくべきか?
さすが学会!と圧倒されながらも、ほかの事例と比較してみることで、スペースRデザインだからこそできることが見えてきた、とても貴重な時間となりました。
ここでの経験・学んだことを、コーポ江戸屋敷内での取り組みに留めず、現在すでに取り組んでいるプロジェクト案件、これから出会うであろう新しい建物・オーナーさんのお困りごとに還元していきたいと思います。
「古い建物っていいよね!」が文化になることを目指して。
はこだ