山王マンションで福岡初の賃貸リノベーションに着手してから16年。
当時、まだ社会的認知度が低かった賃貸物件のリノベーションも広く世に認知されるようになり、今や賃貸物件のリノベーションは一般的なこととなりました。
そんな中、一部の人たちの間では自らが住む空間をDIYでつくることへの関心が高まってきています。
その人たちが求めるのは「壁一面だけの塗装」や「自作の棚をつくる」といった部分的なDIYではなく、自分の暮らしを自分でつくりたいという想い、いわば理想とするライフスタイルの実現手段としてのDIYです。
しかし、そういったDIYのニーズが高まるにつれて、そのニーズと実際の賃貸市場との間の乖離を強く感じます。
第一に、実際にDIYが可能な物件が少ない
第二に、DIYを行うにあたっての技術的なハードルが高い
第三に、賃貸物件の場合、DIYでかかる費用をだれがどう負担するのか不明確
上記のような問題が壁となり、DIYしたいと思っている人はいるが実際にはできないというの実情ではないでしょうか。
今回のプロジェクトはそのような想いを持っている人たちと、古い賃貸物件をスペースRデザインがサポートし結びつけることによって、今までの「作業的DIY」とは別に、ライフスタイルの実現という目的の為に行われる「文化的DIY」を福岡に根付かせることを目的としています。(山王文化DIYプロジェクトページ)
入居者は自分の趣味やこだわりを反映させた部屋を、自らの手でつくることができ、それによって豊かな生活を実現することができる。
古い部屋という負債をDIYできる余白があるという価値へ転換することで、建物、布いてはまちの価値を高めることができる。
建物はその歴史、文化を入居者のDIYによって後世に残していくことができる。
私たちは文化的DIYを世に広めることで、そんな未来を実現したいと考えています。
奇しくも当プロジェクトの会場となるのは、福岡で初めて賃貸マンションのリノベーションに取り組んだ建物と言われる「山王マンション」です。
賃貸リノベーションのパイオニアとして第一線を走る続ける山王マンションを舞台に、次なる築古物件の再生手法として「山王文化DIYプロジェクト」が始まります。