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スペースRデザイン
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9月24日(火)久留米のシェアオフィスMekurutoにて「くるめぐらし会議vol.05」を開催、同時に10月からはじまるDIYの新プロジェクト「久留米DIYリノベカレッジ」のプレイベントとして情報を公開いたしました。今回はそのプロジェクト関係者でもあり、建築やDIYに携わるお二方に登壇していただきました。

はじめに南イタリア建築・都市研究の第一人者である久留米工業大学特任講師の稲益先生より、南イタリアで目の当たりにしてきた歴史的市街地の再生からみた”まちで暮らす”ことの意味についてお話しいただきました。

これまで久留米と福岡など近隣の都市の特徴を比べてみたことはありますが、今回は一気に飛んで海外へ。ついにくるめぐらし会議が世界をも視野に入れる日がやってきました…!
というと大げさですが、自分のまちを知るには外のまちを見ることが大切であるということも稲益先生から教わりました。

戦後の復興計画で経済が発展するなか、イタリアの都市には歴史的、芸術的遺産を残す考え方が単体から周囲の環境にまで拡大したそうです。しかしそのような歴史的遺産を保存しキレイなまちを守った結果、まちには人が住まなくなり中心部の人口は減少してしまったといいます。

そこで生まれたのが、現在のイタリアのまちの在り方となっている “保存のみでなく活用する” という視点でした。まちは使ってこそ都市であり、世界遺産がまちのアイデンティティだとしたら、それを積極的に使い発信することで、外の人たちにもその魅力を伝えることができるのだと。モニュメントだけでなく、まちを構成する全てのものを再生しようという考えが、やがてまちへ広がったそうです。

建物や広場などまちの資産を活用しそれをまちに点在させることで、人が自然とまちを歩くきっかけをつくったり、中庭や裏庭をもつ大きな邸宅を開放したり。
面白いと思ったのは、「アルベルゴ・ディフーゾ」という分散型ホテル。散らばっている空き家を活用し、複数の建物にそれぞれの役割をもたせ、地域一体がホテルとなっているのだそう。こうすることで宿泊客は自然にまちを歩き、暮らすようにまちに泊まります。

また「白い町」の名をもつ「オストゥーニ」では、自分たちの白いまちを守るため、毎年まちの人が自分たちで壁を塗っているのだそうです。まちや国からの補助金は一切ないといいます。

とても魅力的な南イタリアの美しいまちは、単にハードを美しく整えているだけではなく、このようにまちの人たち一人一人の意識と行動から構成されているものでした。

そのまちの人たちの心にあるものが、
「コモンセンス(共通認識)」「シビックプライド(市民が都市にもつ誇りや愛情)」

生きたまちにするのは、当事者である私たちだという意識。
生きたまちにすることで、自分の生活が豊かになる。

そのまちに生まれ育った人だけでなく、都市を構成する全ての人たちが自分のまちに誇りをもち愛する。素晴らしい都市の在り方だと感じました。

死ぬまでに一度は南イタリアへ行こう。
そう心に誓った夜でした。

続いて、マチとつながる賃貸アパート『H&A Apartment』を運営し久留米で数々のリノベーションを手掛けてきたH&A brothersの半田満さんより、部屋をデザインするにあたっての”久留米らしさ”についてお話ししていただきました。

賃料があげられない、つまりコストがかけられないという久留米の賃貸市場のなかで意識して取り入れてきたのが、DIYワークショップで部屋づくりを体験してもらうこと。入居者は部屋へ愛着を抱き、まちの人たちの共感を生み発信へとつながる。
コミュニティデザインの原点ともいえるきっかけの場であることに違いありません。

さらに”ほとめきリノベ” と呼ばれる「入居者ファーストのデザイン」
住まい手の立場にたったおもてなしのデザインです。
カーテンレールの上に棚、洋服ハンガーが掛けられる木板や有孔ボード設置、黒板塗装など、大きなインパクトはなくても、小さなおもてなしの心の積み重ねこそが、H&A brothersの考えるほとめきリノベなのだといいます。

また久留米といえば思い浮かぶムーンスターや久留米絣。
これらの伝統的な製法によるプロセスや工程も久留米らしさの一つであり、長く使えば使うほど味の出る風合いは、空間をつくるプロセスにも通ずるものがあるということを、一つの仮定としてお話しいただきました。

その後の意見交換では、シビックプライドの起源についてや当事者意識を生むために何をするかなどの話しが出ました。
それはDIYリノベと共通している部分でもあるようで、稲益先生いわく、DIYとは自分でつくることだけではなく、“自分で決めること”でもある。DIYリノベーションはストーリーのあるモノと暮らしであり、事業性だけにとらわれないことで、共通のコモンセンスと構成員であるという当事者意識を生み出すことができるのではないかと。

イタリアでみて気付いたことは、外に関わり外に意識が向いているということ。
「you are youre city」(あなた自身があなたのまちなのです)
※イタリアのまちの美化キャンペーンのある標語

今日のお話しを聞き久留米をいま一度俯瞰してみることで、新たな「くるめぐらし」のヒントが見つかるかもしれません。自分自身がまちとどう関わるか、その一つ一つの小さな意識の集合体こそ、まちを構成している大きな要素であることを感じました。

講師の方々、ご参加いただきましたみなさま、今回も有意義な時間をありがとうございました。

くるぐらハッコウ所 助手 まえだ

「久留米DIYリノベカレッジ」は10月中旬までエントリーを受付中です!
 詳細はWEBサイトをご覧ください。


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