みなさん、不動産管理会社って、どんなイメージをお持ちですか?
不動産管理会社は不動産を運営するのに必要なあれこれを、オーナーさんを代行して実施するのが仕事。建物や部屋のメンテナンスから、空室がでたときの募集の手配、住人さんとのやりとりなど、その業務範囲は多岐にわたります。
▲夏の日差しを和らげる緑のカーテン設置のお誘いをし、希望入居者さんには実施@コーポ江戸屋敷
一方で、わたし自身、部屋を借りていた時の記憶を辿ってみると、ほとんど接点がなく、唯一、退去立ち合いに来てくれたな、という印象。おそらく、ほとんどの方はそうではないでしょうか?
スペースRデザインは、建物の長期維持を見据え、オーナーさんと話しながらオーダーメイドのプランを練っていく中で、必要となれば管理業務を受けています。というのも、建物がこの先どういう方向性で進むのか、ということに「建物管理」は、冒頭で書いた業務の内容からも、とても重要なポイントだからです。
現在、テナント物件、賃貸住宅、シェアハウスの管理に携わっている当社。その中でも、今回は「シェアハウス」に焦点を当てて、「どんな管理を心がけているか」について、管理スタッフに話をききながら掘り下げていきたいと思います。
住人さんの住む環境を整える。シェアハウスの管理。
シェアハウスは、ざっくりと、何かしらの「共用部」をもった共同住宅の意味で使われますが、その「共用度合い」は各シェアハウスや規模によっても様々。
スペースRデザインは2棟のシェアハウスを管理運営しています。
▲一宇邨
▲茶山ゴコ
ともに、各専用居室に加え、キッチンやリビング、水回りなどを共有しています。もともと個人住宅だった建物をシェアハウスにコンバージョンしており、戸数も5戸と7戸と比較的少なめです。
今回話をしてくれたのは、シェアハウス管理人・新野。他にも、建物紹介や入居者インタビューなど主に広報業務も担当しています。新野が書いた記事はこちら
「一宇邨はオーナー様がいて、その管理補助、茶山ゴコは当社がオーナー様より建物をサブリースして、企画から管理運営すべて当社です。なので、多少内容は異なりますが、どちらとも、月1〜2回定期訪問をして、備品の補充、共用部のチェック、簡単な清掃などをしています。その時に住人さんがいれば、少し話をしたり。そうそう、珈琲をご馳走になったこともありました!」
「基本的にはラインやメッセンジャーを使っています。訪問する日の連絡をし、足りない備品などがあったら教えてもらったり、募集部屋に案内が入ります、とか、新しい住人さんが決まりました、などの事務連絡。あとは、なにか不具合が生じたときは住人さんから連絡をしてもらったり、入退去があるタイミングで送別会・歓迎会をしているので、その日程調整など。旅行にいった住人さんが『お土産おいてるのでぜひ~』や『宅配代わりに受け取ってます』なんてこともあります。」
▲庭木の剪定@茶山ゴコ
「そうですね、シェアハウスで同じ家に住んでいるといっても、ライフスタイルや仕事の時間帯がバラバラなので、なかなか会えるタイミングがない方もいらっしゃるようです。なので、管理側の業務連絡だけでなく、みなさんに伝えたいことを知らせる掲示板のような役割も、メッセンジャーは果たしています。」
▲簡単な伝言は現地に置いている管理ノートで伝えることも
「さきほど少し話にでましたが、入退去があるタイミングで歓迎・送迎の意味で食事会を開いています。主催というほどでもなく、みなさんに『やりましょう』と声かけをし、日にちを決める、ぐらいのことしか私はしていなくて。食事会はみなさんにあまり負担がかからないよう、持ち寄りにすることが多いですが、どなかたが発案してくれて、焼肉をしたり、お寿司の会になったり、みんなで鍋をつついたり、ということもあります。」
▲持ち寄りスタイルでの歓迎会@一宇邨
「はい、食事会に参加すると、いつもみなさんの話題に驚くことばかりで。シェアハウスに入居される方は、普通の賃貸ではちょっとものたりなかったり、仕事柄、移動が多かったり、人とのつながりをもちたい、といった方が多いんです。2つのシェアハウスの管理をしているのですが、みなさん経験豊富で、話題も多種多様。各シェアハウスで住人さんの雰囲気も違うので、そこもまた面白くて。食事会の時に、元住人さんが参加されることもあるんです。退去してもその建物を介して交流が生まれるって、いいなって。建物が長くそこにあり続けて、ずっと維持してくれる方がいるからこそな出会いなんですよね。」
▲鉄板焼きスタイルでの歓迎会@茶山ゴコ
「住人さん一人一人が快適で安心できる生活を送ってもらうために、時には住人さんも一緒に考えてもらいながら、整えることがわたしの仕事です。なので、建物や住人さんの立場に立って、接するようにしています。ただ、できる限り管理人というよりも、自分も一緒のコミュニティで生活している人、として物事を考えるようにしています。」
「接するときの心がけと同じなのですが、近すぎず遠すぎず、住人さんといい距離感でいることでしょうか。仲良くしすぎて管理がなあなあになってもいけないし、かといってあまりにもドライだと、困ったときに相談がしづらい。そこのいい塩梅を保つことです。あとは、2つのシェアハウスの共通点で、住まいだけではなく、事務所や店舗といったテナントと複合したシェアハウスという特徴があるので、テナントさんも居心地がよく事業活動しやすく、かつ住人さんも安心して住める環境、のいい塩梅を調整するのも心がけています。」
▲1階住居・2階が店舗の茶山ゴコ
▲2~3階住居・地下階が店舗事務所の一宇邨
「はい。ただ、みなさん、建物は自分一人ではなく誰かと共有している、ということをきちんと理解して入居くださっているので、私だけでなく、住人さん各自がいろいろと考えたり協力し合って成り立っていると感じます。当然ながら、生き方はそれぞれ違うし、目標や考え方も違う。住人さんも入れ替わります。それでも、建物を通してどこか共通の価値観をみなさん持っていて、それぞれが尊重しあい思いやりやを持って交わることで、家族でも仕事仲間でもない、ゆるやかなコミュニティが育まれていると感じます。管理人として調整はするのですが、イメージとしては、そこに自分も混ざっている、という感覚です。」
「顔の見えるコミュニティ管理」で「オーナー」「管理者」「住人」の関係性を紡ぐ
「一宇邨」と「茶山ゴコ」の管理スタッフから見えてくるのは、ただの「管理者」として接するのではなく、その建物の中のコミュニティの一員でもあるという姿勢。そして住人さんも、管理に少なからず関わっている、という関係。
スペースRデザインは、シェアハウスに限らず、この「顔の見えるコミュニティ管理」というのを大事にしています。建物の長期維持のためにはオーナーさんも管理者も住人さんも、みんなが、建物を大切に想ってくれることが大事だと考えます。そのためには、この3者の関係性がキーになる。そして、住人さんとオーナーさんを結びつけることができるのが管理者なのです。
「オーナー」「管理者」「住人(テナント)」の立場がくっきりと線引きされているものを、建物それぞれの特徴に合わせて、その線引きを考え直す。「どうしたらのびのびと暮らしてもらえるか」「どうしたら建物を好きになってもらえるか」。わたしたちの管理は、いつもそんな姿勢からスタートしています。
ちなみに、冷泉荘の管理人や、コーポ江戸屋敷のコミュニティデザイナー、天神パークビルには当社が入居していたりと、管理する建物には何かしらの形で、現地スタッフを設定し『住人(テナント)目線』をくみ取る仕組みを作っているスペースRデザイン。会社としての根っこは一緒でも、各建物現地スタッフそれぞれに、シェハウスとはまた違った管理に対する心掛けがあるはず。その話はまたおいおい掘り下げていきたいと思います。
はこだ